僕らは映画と旅に出る vol.2 【映画館】


鹿児島の劇場支配人さんからメールを頂戴した。
今回の作品は、九州からまず公開していこうという方針で、
いくつかの劇場と交渉中なのである。
僕の前作「まちや紳士録」や今作がかかる映画館は、
大手が経営するシネマコンプレックスではない。
県の風土、立地条件、支配人さんの人柄、経営状況...などが
色濃く滲み出ている、「人生」を感じる映画館ばかりである。


前作「まちや紳士録」の際は、もちろんPRしようという
気持ちはあったが、ただ監督として意図や想いを表現すれば
それで自分の仕事は終わり、という意識が強かった。
今回はちょっと違い、「数字」の大切さをひしひしと感じている。


例えば2時間の作品を1日3回上映として、100席の劇場だとすれば、
1日6時間、300席。ここに一人千数百円の鑑賞料でどれだけの人が
入ってくれるかが、劇場にとってまさに死活問題なのだ。
1日6時間、300席の責任の一端を、こちらも背負わせていただく
ということへの、「健全なプレッシャー」を今
ひしひしと感じているところだ。
(文中の数字は例えです)


監督・伊藤有紀